魚には、体に吸収されやすい「ヘム鉄」が含まれ、鉄分を効率よく補えるだけでなく、DHAやEPAなどの栄養も豊富です。
鉄分不足は、貧血や疲れやすさ、集中力の低下などにつながるため、特に女性や成長期の子ども、スポーツをする人には重要な栄養素です。
この記事では、鉄分が多い魚の種類や栄養的メリット、手軽な取り入れ方、そして意外な高鉄分食品「ほや塩辛」まで紹介します。
鉄分が多い魚トップ7と含有量一覧【可食部100gあたり】

魚は種類によって含まれる鉄分の量に大きな差があります。ここでは、特に鉄分が豊富な魚をランキング形式で紹介しながら、加工法や部位による違いについても解説します。
魚種別の鉄分量ランキング
以下は、文部科学省「日本食品標準成分表」などを参考にした、鉄分含有量の多い魚の一覧です(すべて100gあたり)。
| ランキング | 魚種(加工形態) | 鉄分量(mg) | 補足 |
| 1位 | 煮干し(いわし) | 18.0 | 乾燥による栄養濃縮 |
| 2位 | かつお節 | 9.0 | 削り節タイプ |
| 3位 | サバ節(削り節) | 7.2 | 出汁にも使える |
| 4位 | ツナ缶(油漬け) | 4.0 | 手軽で便利 |
| 5位 | 焼きブリ | 2.3 | 脂も乗って食べやすい |
| 6位 | サンマ蒲焼き缶 | 2.9 | 味付きでご飯が進む |
| 7位 | 生カツオ(赤身) | 1.9〜2.6 | 季節によって変動 |
※数値は目安であり、品種・季節・加工方法により変動します。
加工法によって鉄分は変わる?
魚は加工・調理の方法によって鉄分濃度が大きく変わります。たとえば水分が抜ける乾物(煮干し、かつお節など)や缶詰は、鉄分が凝縮される傾向があります。
一方で、生魚や刺身は水分が多く、鉄分含有量はやや控えめですが、素材の味や他の栄養素(DHA・EPAなど)を効率よく摂れるという利点があります。
忙しい方には、ツナ缶やサバ缶などをうまく活用することで、手軽に鉄分を取り入れられます。
血合い部分が多い魚ほど高鉄分になる理由
赤身の魚に鉄分が多いのは、「血合い」と呼ばれる赤黒い部分にヘモグロビンやミオグロビンが多く含まれているためです。
とくにマグロ・カツオ・イワシ・サバなどの赤身魚は、血合いの比率が高く、鉄分も豊富。血合いを取り除かずに調理・加工することで、鉄分をより多く摂取できます。
最近では「血合いごと使ったツナ缶」や「血合い入り削り節」などの商品も増えており、そうした製品を選ぶのもおすすめです。
鉄分には2種類ある?魚の「ヘム鉄」が優れている理由
同じ「鉄分」でも、実は体への吸収効率には大きな差があります。魚に含まれる鉄分は、「吸収されやすい形」であることが特徴。ここでは、鉄の種類と魚が持つ栄養的なメリットをわかりやすく解説します。
ヘム鉄と非ヘム鉄の違い
鉄分には、「ヘム鉄」と「非ヘム鉄」という2つの種類があります。
ヘム鉄:動物性食品(肉・魚)に含まれ、体内への吸収率が高い
非ヘム鉄:植物性食品(野菜・豆類・穀物)に含まれ、吸収率が低い
ヘム鉄は、小腸で直接吸収される構造になっているため、体が効率よく利用できます。一方、非ヘム鉄はビタミンCやたんぱく質と一緒にとらないと吸収されにくいという性質があります。
そのため、魚のようにヘム鉄を多く含む食品は、鉄分補給に非常に適しているのです。
吸収率は最大5倍以上!魚介類の栄養的な優位性
ヘム鉄の吸収率は約15〜25%、非ヘム鉄は5%以下とも言われます。つまり、同じ量を食べても、体に取り込まれる鉄分は数倍も違うというわけです。
たとえば、鉄分を多く含む食材としてよく知られる小松菜(非ヘム鉄)と、カツオ(ヘム鉄)では、吸収される鉄の量に大きな差が出ることがあります。
加えて、魚介類には貧血予防に欠かせないビタミンB12も豊富。動物性食品にしか含まれないこのビタミンも、赤血球の生成や神経機能に関わる重要な栄養素です。
鉄以外のメリット(DHA・EPA・ビタミンB12など)
魚には鉄分以外にも、健康を支える栄養素がたっぷり含まれています。
DHA・EPA:血液をサラサラにし、脳や神経の働きをサポート
ビタミンB12:貧血や神経の健康維持に不可欠
ビタミンD:カルシウム吸収を助け、骨の健康にも◎
つまり、魚を食べることで「鉄だけでなく、からだ全体にとって必要な栄養素を一緒に補える」点が大きな魅力です。
毎日の食卓に手軽に取り入れる方法

魚に含まれるヘム鉄をしっかり摂るには、続けやすさがカギ。ここでは、忙しい日々でも取り入れやすい食べ方や時短アイデア、魚が苦手な人でも楽しめる工夫をご紹介します。
缶詰・冷凍・乾物を活用して鉄分アップ
新鮮な魚を毎日調理するのは大変ですが、缶詰・冷凍・乾物をうまく使えば、手間なく鉄分を補えます。
たとえば:
ツナ缶(油漬け):鉄分4.0mg/100g。サラダやパスタにそのまま使える。
サバ缶(水煮・味噌煮):鉄分約2.0mg前後。骨ごと食べられ、カルシウムも豊富。
かつお節・煮干し:鉄分濃度が非常に高く、味噌汁やふりかけ、だしにも活用できる。
冷凍のカツオやブリの切り身も、焼くだけ・煮るだけでメインのおかずになります。保存性も高く、常備しやすいのが魅力です。
忙しい人にも◎!簡単・時短レシピ例
調理の手間を減らしながら、栄養価もきちんと確保できるレシピをいくつかご紹介します。
ツナと豆のサラダ
ツナ缶+ミックスビーンズ+ミニトマトを混ぜて、オリーブオイルとレモン汁で味付け。ビタミンCで鉄の吸収も◎。
サバ缶炊き込みご飯
米にサバ味噌煮缶としょうが、にんじんを加えて炊くだけ。旨みも栄養もまるごと摂れます。
かつお節と青菜のおひたし
鉄分の多いほうれん草や小松菜に、かつお節をたっぷりかけて。簡単なのに栄養満点。
どれも5〜15分で作れるので、忙しい朝や帰宅後でも無理なく取り入れられます。
子どもや魚嫌いにもおすすめの工夫(ハンバーグ・カレーなどに応用)
魚のにおいや食感が苦手な子どもや大人には、ミンチ状やソースで味をまとめる工夫が効果的です。
ツナ入りハンバーグ:合いびき肉にツナ缶を混ぜて焼くだけ。旨みが増して食べやすく。
サバ缶カレー:玉ねぎと一緒に炒めたサバ缶に、カレールウを加えるだけ。臭みが気にならず、鉄もたっぷり。
魚のそぼろご飯:焼いたサバやブリをほぐして、甘辛く炒めるだけ。お弁当にもぴったり。
食べやすくアレンジすることで、魚の栄養を自然に家族に届けられます。
鉄分をしっかり吸収するコツ
せっかく鉄分を含む食材を選んでも、体にしっかり吸収されなければ意味がありません。ここでは、鉄分を効率よく吸収するためのちょっとしたコツをご紹介します。
ビタミンCやたんぱく質と一緒に食べよう
鉄分の吸収を助ける栄養素の代表がビタミンCです。特に植物性の非ヘム鉄と組み合わせると吸収率が高まりますが、魚のヘム鉄にもプラスの作用があります。
- ツナサラダにレモン汁やトマトを添える
- サバの味噌煮に添える副菜をブロッコリーやパプリカにする
- 青菜のおひたしに柚子ポン酢をかける
また、たんぱく質も鉄の吸収に関わるため、魚自身が優秀なたんぱく源であることも大きな利点です。
緑茶・コーヒーとの飲み合わせに注意
鉄分の吸収を妨げる要素として知られているのが、タンニンやポリフェノール。これらは緑茶、紅茶、コーヒー、赤ワインなどに含まれ、鉄と結びついて体外に排出されてしまうことがあります。
食事中や直後にはこれらの飲み物を避け、代わりに水や麦茶、ルイボスティーなどノンカフェイン・ノンタンニンの飲料を選ぶと、吸収を妨げにくくなります。
鉄不足が気になる人におすすめの食べ方習慣
日常的に鉄分を意識するなら、以下のような「ちょい足し」や「置き換え」がおすすめです。
- ご飯にいりごま+かつお節を混ぜる
- お味噌汁の出汁を煮干しやアジの干物でとる
- 朝食にツナやサバの缶詰を使ったおかずを加える
- お弁当に魚のそぼろふりかけや「くるみとじゃこの佃煮」をプラス
毎日少しずつでも取り入れれば、無理なく鉄分が体に貯まりやすくなります。
魚だけじゃない!鉄分豊富な「海の発酵珍味」も注目


鉄分を摂れるのは魚だけではありません。実は、一部の海産物にも鉄分が豊富に含まれており、なかでも注目なのが「ホヤ」という食材。味わい深い発酵食品としても知られ、鉄分補給の新たな選択肢としておすすめです。
実はホヤにも豊富な鉄分(100gあたり約5.7mg)
ホヤは100gあたり約5.7mgの鉄分を含んでおり、これはマグロの赤身やサバなどの魚類と比べても非常に高い数値です。しかも、魚と同じくヘム鉄が中心のため、吸収率が高いのもポイント。
魚介類が苦手な方でも、旨みの強い加工品であれば食べやすく、少量でも効率的に鉄分を摂取できます。
ホヤとは?東北の海で育つミネラル豊富な海産物
ホヤは東北地方、とくに三陸沿岸で多く水揚げされる海産物で、海のミネラルやアミノ酸をたっぷり含んだ栄養豊富な食材です。
独特の香りと深い旨みが特徴で、「海のパイナップル」とも呼ばれるユニークな存在。現地では昔から食べられてきた、知る人ぞ知る伝統の滋養食品です。
発酵させた「ほや塩辛」は鉄分・うまみが凝縮された逸品
ホヤを塩と一緒に熟成させた「ほや塩辛」は、鉄分とうまみ成分がぎゅっと詰まった発酵珍味。生のホヤよりも味にコクがあり、お酒のお供やご飯のおともとして根強い人気があります。
発酵の力でアミノ酸やミネラルの吸収率も高まり、“からだにおいしい”大人のごちそうとして注目されています。
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まとめ|鉄分不足が気になるなら、魚とほやを賢く味方に

鉄分は、毎日を元気に過ごすために欠かせない栄養素です。魚に含まれる「ヘム鉄」は吸収率が高く、DHAやEPA、ビタミンB12などの栄養も一緒にとれるのが大きな魅力。忙しい日でも、缶詰や乾物、簡単レシピを活用すれば無理なく取り入れられます。
さらに、鉄分をしっかり補いたい方には、ホヤのような鉄分豊富な海産物も心強い味方。発酵食品である「ほや塩辛」は、鉄とうまみが凝縮された一品です。
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